食中毒・感染症予防の研究:クリニックにおけるノロウイルス対策
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HOME > labo > 感染症と食中毒かの両面から見たノロウイルス対策の考え方

1.ノロウイルスによる食中毒や感染症の歴史について

○ ノロウイルスはヒトと二枚貝の間で行ったり来たりする。
 ノロウイルスによる胃腸炎は食品由来であると考えられていたが、ヒトからヒトへの感染もあることが最近明らかにされた。

○ 我が国では「感染症胃腸炎」という病名で全国の発生状況がサーベィランス(観察)されている。
※ 全国約3,000ヵ所の小児医療機関(定点)から毎週発生状況が保健所に届けられている。

○ 感染症胃腸炎は晩秋から冬季になると急に増え、年が明けて一旦収まるかのように見えるが、春にかけ再び緩やかに増加傾向となる。
 はじめのうちは幼児・学童を中心としてノロウイルス事例が多いが、年を越えるとタロウイルスの発生件数が多くなるが3月から4月に再びノロウイルス事例が多くなる。

2.嘔吐物を原因としてノロウイルスが空気感染することはあるのか?

○ 一般に感染症の感染経路としては

@病原体保有者が直接的に接触することで感染する場合

A保有者の咳やくしゃみ、唾(つば)などを介して1m前後の至近距離にいる人に飛沫感染の場合

換気が悪く、狭い空間であればその空間にウイルスが拡散停滞して、それを吸い込んで感染する可能性はあるが、野外の公園や駅のホームで遠くにいる病原体保有者から感染させられることはきわめて稀である。

3.ノロウイルスは食品製造や食品調理環境で完璧に対応できるのか?

身の回りにいる身近なういるすであり、病気なので「完璧」に防ぐことは無理である。限りなくゼロに近づける為にはまず「手洗い」が重要な位置づけになる。従ってウイルスに汚染された手指で厨房や工場のあちこちに接触する前に接近・消毒の処理をしなけらばならない。手袋着用の場合も同様である。

ノロウイルスの「ヒト〜ヒト」感染が起こり得るとすれば、トイレ設備の便座やドアノブである

4.検便はノロウイルス対策として効果があるか?

のろウイルスの検査は1検体当たりの単価が高いので安易に「検査すればよい」とは言えない。それよりも自分たちの施設が「どのような衛生管理を行っているのか?」が問題である。

高いコストをかけて検査するより

@当施設では自己申告で「具合が悪い」と申し出た従事者は食品取り扱いの現場から外れる。

A「(手洗いが)必要なタイミングでは手洗いを徹底して行います」という説明ができるほうが、ノロウイルス対策として現実的である。

5.ノロウイルスの原因は食中毒の場合と感染症の場合がある。

食中毒の場合 −−−−− 営業停止処分

感染症の場合 −−−−− 処分はない

ノロウイルスは少数の菌数で発症するため効果的な対策を講じても防ぎきれない場合がある。しかし、往々にして 1.手洗いの不備
         2.食器や調理器具の不適切な洗浄・消毒
         3.嘔吐物の不適切な処理
         4.環境の衛生管理の不備
等の衛生問題が集積している。

6.「ノロウイルスに関する正確な情報提供」のあり方

ノロウイルス感染症は基本的には自然治癒する。但し

激しい嘔吐・下痢による脱水症状
嘔吐物による窒息
嘔吐物を誤嚥して肺炎に発展する

抵抗力の弱い小さな子供や年寄りには発症があり得るが、3日ほど安静にしていれば確実に快復する。
対策:調理従事者の徹底的な手洗いなどによってのろウイルス感染症の事故的な発生数を減らすことができる

参考文献:国立感染症研究所
岡部信彦氏

株式会社 エム・ケイ

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